InterviewWEBマーケティング

美味しい仕事。

霜田 明花2015年⼊社

神奈川県横浜市出身。営業としてキャリアをスタートさせ、BtoCマーケティング強化のために立ち上げられたplus推進部やWEB販売促進部を渡り歩く霜田は、営業時代の成功体験に支えられている──。

憧れと現実の狭間で

「お父さんみたいに美味しいものを食べたいなあ」。

幼い頃、営業職に就いていた父親は自分にいろいろな話をして聞かせてくれたものだった。なかでも覚えているのは、得意先の人と楽しんだ食事の話。おかげで<営業=美味しいものを食べられる仕事>として脳内にインプットされた。時は経ち、就職を意識した時にふと思う。尊敬する父親と同じように働いてみたい。その後、縁あってカクヤスの営業としてのキャリアは始まった。

しかし、仕事は思い描いた通りにはうまくいかなかった。自分が提案をしにいく相手は経営者で、シビアな市場を生き抜いてきている人ばかり。知識も経験も圧倒的に足りていない若者の話を聞いてくださる方はそこまで多くない。門前払いされることすらあった。そこで父親が自分には話していなかった、営業の大変な部分に直面した。それでも私にはカクヤスの看板を背負っていくという責任感があった。16年間続けたソフトボール部で養った負けん気も私を助けてくれたのだと思う。やってやるという意志と自信が顔にあらわれたのだろうか。徐々に提案を聞いてくれる人が増え、成果へと結びつくようになった。

過去の自分が
味方になる

最も思い出に残っている案件がある。営業5年目のこと。いつもお世話になっているお客様のお店に立ち寄ったところ、担当エリア内で新規開業予定のオーナーを紹介された。この方は近いうちにこのあたりで「座席数は100席、ダーツで遊べて、バーもカラオケも楽しめるお店のオープン準備をしている」と話してくれた。興味を引かれてお話をするうちに、ビビッと来た。『これはご繁盛されるな』と。同時に『絶対にお取引がしたい』とも。いつか上司から言われた「お客様は人生をかけてお店を経営している、お客様と同じ熱量を持って誠実に働きなさい」の言葉が頭の中で光った気がした。この日から私の営業経験をかけた一大チャレンジが始まったのである。

2ヶ月のタイムリミットの間に、競合となる4社よりも、望ましい取引先として選定いただく。これが私の最重要目標となった。その達成のためにはニーズを的確に見つけ出さねばならない。オーナーは何を必要としているのだろうか。答えのヒントになったのは、開業予定のエリアは神奈川でも有数の繁華街であること。競争が激しいため、流行っているドリンクや売れているお店などの情報は目まぐるしく移り変わる。まずはお店づくりの参考になる周辺の最新情報を提供した。次に、必要な設備についてサポート。店内にBGMをかけるための有線や、電気系統、おしぼりなどそれぞれを取り扱う業者を紹介する。これでオーナーが自ら業者を見つける手間を省くことができた。残るは人間のあたたかみを生かしたアピールだ。ある日は、工事中の店内にお邪魔してエナジードリンクを手渡す。また別の会えなかった日には名刺裏にコメントを残し参考資料に添えてポストに投函する。どうすれば少しでも役に立てるのだろう。朝から寝る直前まで、趣味のサウナを休日に楽しんでいる時ですら、ひたすら考え続ける。それまでの営業経験で身につけたアプローチをすべて使って、全力を注ぐ日々が続いた。

オープンが近づいたある日の夕方、上司と食事に出かけていた時に電話がかかってくる。発信元の名前を確認して、受信ボタンを押す。「……あなたに決めました」──よっしゃあ! 喜びが込み上げて、心の中で大きくガッツポーズをした。オーナーからの発注の連絡だった。売上見込みは毎月およそ100万円。金額の大きさも嬉しかったが、それ以上にこれまで積み重ねた行動が報われたことへの達成感と興奮が身体中を駆け巡った。電話を切ったあと何を食べたかを忘れたとしても、とびっきり美味しかったことだけは確かだ。ああ、お父さんもきっとこの美味しさを味わっていたのかな。彼の笑顔がふと脳裏をよぎった。

これからも
声に応え続ける

営業部を離れて、plus推進部に招集された私を次の最重要目標が出迎えた。それは『酒類だけにとらわれない、新しいジャンルの個人のお客様向け商品を開拓せよ』というミッション。BtoB営業の経験しかなかった私は、BtoCマーケティングについても勉強にとりかかった。消費者は何を必要としているのだろうか。この問いにチームメンバー皆で取り組んだ結果、冷凍食品、ペット用品、炭酸サーバーの交換用ガスシリンダーなどをラインナップに追加。これまで気づかなかった需要に応える形で幅広い商品を取り扱いはじめ、新しいお客様の獲得につながった。

さらに、現在はWEB販売促進部に異動し、ECサイトの運営に携わっている。この部署の役割は新規登録会員を増やす施策、登録済みの会員にもっと買ってもらえるようなキャンペーン企画やコラム記事の発信を行うこと。月に5〜6本ほどコンテンツを展開し、ユーザーの反応を見て効果を測る。先日、自分でテーマを検討したコラム記事もリリースした。インターネット上で記事を見る可能性が高く、幅広い年代の消費者に興味を持ってもらえるものは何か。そこで自分の趣味でもある「サウナ」をキーワードにし、「サウナ後の1杯におすすめの商品」を紹介する企画を出した。上司の了解を得て満を辞して公開するも、結果はというと、残念ながら反響はあまり振るわなかった。悔しい。悔しいけれど、これも経験してみないとわからないもの。次の企画はどうしようか。新しいアイデアを集める日は続く。

自分の力で得た成長

ふとこれまでのことを振り返る。初めて受注した時のこと。営業先が増えて最大400件ほどになったこと。初めて後輩に同行して営業に行った日のこと。正月三が日に挨拶回りで20km歩いたこと。新しい部署に配属されて、急いでBtoCマーケティングについて勉強したこと。企画したコラムが思ったような反響を得られなかった時のこと。大変だったことも楽しかったことも、すべては自分の成長の糧になっている。その”旨み”を得られたのは、カクヤスで働き続けたからこそ。父親が話していた通り、営業は<美味しいものを食べられる仕事>だった。そして、私がさらに知ることができたのは、カクヤスでの仕事は達成感や成長といった旨みを与えてくれる<美味しい仕事>だったということ。

そうだ、今度は私からお父さんに仕事の話をしてみよう。